2009年01月06日

題名未定2(ひまわり系シリーズ)


 暖房の生暖かい風は、壁に沿って流れ、部屋の角で溜まる。
 その吹き溜まりの淀んだ空気に、今の私の話はピッタリだった。
 行きつけの喫茶店の、私の指定席。低音でスローテンポなジャズがかかり、空気が常に淀んでいるこの店に今日もまた、私はやって来ていた。普段と異なるのは、向かいに連れ合いがいるくらい。感情と自己肯定を交えて吐露した私の最新の別れ話の経緯を、彼女は黙って聞いていたが、
「何人目?」
 私の独白がひと段落したところで、それだけ訊ねてきた。小さな声が私の手指の皮膚に響く。ドン、ドンと腹まで浸透する重低音よりも鋭く、その問いは私の心に響いた。
 喉の渇きに、目の前にある紅茶に手を伸ばす。
「三人目。……男は」
 時間が経ち生ぬるくなった液体でも、喉を潤すには十分だ。
 友人の声のトーンが変わる。
「男は……? あんた女にも同じ事やったの?!」
 先ほどより高くなった声に、私は答える術がない。友人はそのまま、疑惑を込めた声音で後を続けた。
「つまり、仕事のマッサージの延長線上で個人的に気に入った人間の身体を味わって? たら、いつの間にか一線越えちゃってた、と。……私には理解できん世界だわ……」
 友人の言葉が途切れたのは、自己弁護の機会が与えられたと考えて良いのだろうか。私はテーブルの端においた煙草の箱を手前に引き寄せ、一本取り出した。彼女はいい顔をしないだろうが、考える時間が欲しかった。薬物の棒を指先で弄びながら、抗弁する。
「いや……でも、好きな相手の身体には触りたいと思わない?」
 我ながら見え透いた言い訳だ。
「あんたは逆でしょうが。触りたいだけで相手の事好きじゃないから、こういう事になる」 
 ジャストミート。私自身が言ってから気付いた論理の綻びを、一呼吸もおかずに的確に突いてくる。
 煙草をくわえて火をつけ、最初の一息を吐き出すまでの数秒。
 考えても相手をやり込める言葉は見つからず、煙と共に出たのは何の関係もない私の特異点だけだった。
「だって、私は見えないし」
「見えてたら自分好みのイケメンとなら寝るわけ? そういう事じゃない? あんたの今やってる事って」
「いや……あたしは寝たいわけじゃなくって、ただ味わいたいだけなんだけど……」
 ――味わいたいというか、触りたいというか。
 目の見えない私には、触れることでしか相手の体を確かめられない。相手に触れるという事は同時に相手にも触られている事だといえるが、正直、私は触られる事はあまり好きではない。そもそも、見える人は触らなくとも相手の事はわかるのだから、相手を知るのに触る必要なんてない、というのが私の持論だ。
 視姦、という言葉があるが、もし見えていたとしたら、私はその道の達人になっていたと思う。相手の体を触らずとも感じられるなら、私はそうしたい。これは異性に飢えているのではなく、美に飢えているのだ。美しい肉体に。……自分が色情魔であると認めたい人間も少ないとは思うが。いや、私は断じてそうではない。
「いや、一般社会じゃ男女がお互い触りあってたら、そうなっちゃうもんなんだって」
 呆れの中に、やや諭すような口調を交えて彼女は言う。正論過ぎる言葉に、紅茶をわずかにすする。温い液体が舌を滑り、カテキンが舌に僅かな苦味を残す。
 はぁ、と小さくため息をつき、彼女は少し考え込んでいるようだった。
「理(のり)、あんた恋した事ある?」
 暫くの沈黙の後、静かに呟いた。
「いや、人の身体に、じゃなくて、ね」
 私が口を開く前に、うんざりとした口調でゆっくりと、一語毎に区切って念を押す。失礼な。
 うーん、と唸って、軽く考えてみる。喉の上の辺りに、ざらつきを感じた。
「いや、私だって二十ウン年生きてきたわけでさ……」
 少し身を乗り出し、テーブルに肘をついて左手を口元へ。煙草を咥え、ゆっくりと吸い込む。
 最近肌荒れがひどいのは、本数だけの問題ではないのだろう。滑らかだった私の肌は、外気に晒され続けて確実に硬化していっている。
「ある?」
 崖の上に進んでいく私の思考の背を少しずつ、しかし確実に後押しする言葉。
 相手の身体に触れたことがないのは、私が見える人であったとしたら、相手の姿を見た事がないに等しい気がする。
 崖の先には、何もない。ふっと地面の感触がなくなり、自分という固体もなくなり、煙のように自由に周りの空気と混じりあいながら風に飛ばされてゆく夢を、小さいころから何度も見た。
 相手の身体が表面的な属性であるなら、声は?
 匂いは、仕草は?
 性格という不確かなものは、感じるのが難しいから、それを好きになるのが高尚な愛なのだろうか?
 身体が、その人の日々の食事や運動といった生活の結果であるように、性格だって生活の結果ではないのか?
 思考が空を飛び、散り散りになってゆく。
 自分の口からどんな言葉が出たのか、思い出すことは出来なかった。
 澄んだ空気ではなく、様々な有害物質が交じり合った煙が吐き出される。
 彼女は煙草を吸わない。
 私の吐く煙は何とも交わることなく、孤独に虚空をさまようだけだった。
posted by みもん at 02:12| Comment(9) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私ワタシとやかましい冒頭だなw
盲目キャラの一人称で煙の動きを精彩に描写するのは果たしてどうなんだ?
Posted by か at 2009年01月11日 07:34
感想ありがとうございますー。
やかましい……というのは確かにその通りですね(笑) ちょっと次回気をつけます。
煙の描写については、彼女の心理内描写のつもりだったのですが、ちょっとわかり辛い書き方だったかもですね……。
久しぶりで見苦しい文章ですが、読んでくれてどうもありがとうございました!
Posted by みもん at 2009年01月11日 19:31
てっめこのwwwwwwww気づけよ! 気づけよ、なんだよ! うわああああああああああn
Posted by かみあき at 2009年01月11日 20:34
え? あ……ナーンダ……ガッカリ。
Posted by み at 2009年01月13日 19:18

うははははっ!!wwwすんげーパイオツな女の子とちゅっちゅしてきたよ〜!!www
突くたびにブルルンブルルン揺れるのはオパーイ好きにはたまらんwwwww(*´∀`*)
しかもたゆんたゆんのオパーイでズリズリもしてもらったし、キンモヂィィー!!www(ノ*゚∀゚)ノ

http://jam.tsukimisou.net/mo-2vaq/
Posted by ボッヨヨヨヨ〜〜ン!!www at 2009年08月09日 10:02

もーき も ち よ す ぎで入れるたびに息子が暴走しまくりです!!
しまいには「ソーローなの?」とか聞かれるし!wwwΣ(´д`*)ガガーン!!
・・・つかそんな名 器 の マ ヌ コに入れてガマンできるわきゃねーだろ!!ヽ(`Д´)ノウワァァン!!
でも 報 酬 6 マ ソ くれたから満足はしてもらえたみたいなのでセーフ!だよな?wwwww

http://EnvI.StrowcruE.net/b-cxmtd/
Posted by 名器スゴーーーッ!! at 2009年08月19日 01:58

>しゅうへい
オレなんかなかなかイかせてもらえない生殺しプレイされたぞ!!(|| ゚Д゚)
つーか焦らされ過ぎたらざぁ〜めんってしおフキみたいに吹き出るのなwww失神するかと思ったwwwww
けど男でもあんな風にイけるってのは面白かったねwww報酬もたっぷりもらえたしなーwww
しゅーへい、あれはマジで一回は体験しといた方がイイよ!!ヽ(*´∀`*)

http://OmeTroRo.com/Puru/sn24x07/
Posted by キモチよすぎるうぅぅ!! at 2009年08月26日 04:46

ぽっちゃり美人のなおちゃんに生まれて初めてバキューム プェラしてもらったっス!!
しかもなおちゃんのほっぺ&唇がぷにっぷにだからほとんど口がマ ヌ コみたいだったし!!wwwww

アレ経験したら普通のプェラとかマジでクソですなぁwwwwwムフフフフ(*´ー`*)ーЭ

http://soiE.ikiSugI.com/b9aowhm/
Posted by むちむち美人とずっぽりん! at 2009年09月02日 06:19

足 コ キって思ってたより気持ちいいんだな!!www
マンガやA Vだけのプレイと思ってたけどこりゃ毎回されてもいいわwwwww

しかし足 コ キされるだけで 5 万 くれるんだから世の中の女はよく分からんwww

http://Erin%2eYumenokuni%2eNet/99k-w78/
Posted by ウホッ!! at 2009年09月05日 11:27
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